「『・・・なのだよ。
    少年B』、と。」
そう言いながら、パソコンをカタカタ打つ奴がいる。
ボクだ。
「あ〜!イカン、銀殿にメーノレを...」
そんな事を言いながら、慣れない手つきでキーボードを操作した。
【エラーです
 何者かがこのパソコンにアクセスしています。】
「え!?」
【エラーです】
いきなりエラーメッセージが大量に画面に表示された。
「ヤ、ヤバイ・・・
あうぅぅぅ・・・どぉしよぅどぉしよぅどぉしよ〜〜!!
エラーなんて解んないよぉ〜〜!!」

その声が聞こえたのは、ボクがそう言った時だった。
「うふん
パソコンのディスプレイから出てきたそれは、
綺麗な顔をした、クラピィヘアーの人だった。
「あなたが、ミントちゃんね?」
何でしゃべり方が妲己なんだ!?
「え、え、ええっ!?い、一体誰なの!?」
気が動転してうまくしゃべれない。
「銀なのだよ★」
そう言って、彼女(彼?)はスッとボクのそばに立った。
そばで見つめても男の人なのか女の人なのか、全く解らない。
「うそ・・・銀殿・・・?」
「あはんそうなのだよ★」
「ええっ!?銀殿は北海道・・・
しかもパソコンから?え、あう、あわわ、で、あの、その・・・」
銀殿は『何を言いたいのかサッパリ解らないわね〜』と、いった表情でこちらを見た。
「う〜ん、B殿、混乱してるようだね★
ちょっとB殿に用があってね★」
手に何かをにぎりしめている。
「実はB殿を改造しに来たのだよ★」
「え゛・・・?」
ボクは目の前が真っ暗になった。

ある少年の戦記
          第1話「現れたアイツ」


「おい、B!ちゃんと前見ろよ!」
ボクの前に座って居る友人のαが耳打ちした。
「転校生が来るのがそんなに嬉しいのか?」
「え、転校生だって?」
「またまた〜 まぁ優しくてカッコイイ男の子らしいからその気持ちは分かるけどよ。」
「キミ・・・ボクを何だと思ってるの!?
全く、何処からそんな情報を・・・」
「おやおや、山田先生が来たようだね。じゃっ!」
そう言って、αは前を向いてしまった。

「宮越宗志っス。よろしく。」
転校生は一言そう言った。
「え〜、彼はお父さんの仕事の都合で・・・」
「ほー。オレの仕入れてきた情報通りだな。
結構いい男じゃないか。オレ程ではないにしても。」
スッと後ろを向いたαはそう言って笑った。
「言うとれ。」
ボクはそう言って、αの頭を小突いた。
確かに格好のいい少年だ。
クラスの女子からは黄色い声があがっている。
宮越宗志くんか・・・
「え〜と、宮越くんの席は・・・」
先生が言い終らないうちに宮越くんはさっさと歩き出し、
空いていたボクの隣の席に座った。
「ここでいいです。」
「あ、そ、そう・・・」
慌てる先生をしり目に、彼はボクにだけ聞こえる小さな声でこう言った。
「Bさんですよね?」
「え!?」
ボクはまだこの人に自己紹介をしていない!
「み、宮越くん、君は一体・・・」
「あれ、知っていると思ったけどな。この名に聞き覚えありません?
ま、まさか...いや、しかしそれ以外に考えられない。
「もしかして・・・マ、マイケル殿〜!!??」
「え?マイケル?何言ってんだ?お前?」
冷めた口調でαがツッコミを入れた。
「何言ってんだアイツ〜!?アハハハハ!!」
途端にクラスのあちこちから大きな笑い声が聞こえてきた。
「そうだけどさ・・・」
横では宮越くん、いや、マイケル殿が頭を抱えている。
「・・・あまり目立ちたくないんですけど・・・騒がないでくれます?」
「ゴメン、マイケル殿・・・」
「・・・・・私語はやめろ、授業を始めるぞ。」
ウンザリした顔で先生が言った。

「キーンコーンカーンコーン」
授業の終りを告げるチャイムが鳴った。
「B、お前な〜にやってんだか。」
αがいつものようにからかいに来た。
「うっさいなぁ〜
もう・・・ボクの勝手でしょ〜が。」
「ま、いいや。
宮越くん、オレはαってんだ。よろしくな。」
αは聞こえないフリをしてマイケル殿の方へ向き直った。
「ヨロシクっス。」
「どこから来たんだ?へぇ、なるほどな〜、そう言えば・・・」
誰に対してもこの調子なのだ、αという男は。
「お、オレはサーペント!よろしく!」
サーペントまで会話に加わった。
全く、みんな、本当にすぐ仲良くなるんだなぁ。
それともこいつらが特別なだけのかなぁ・・・
そんなコトを考えながら、ボクは話の輪の中に入れず、
ボケ〜っと彼らを見つめていた。

「ってわけでさ、デスサイズが・・・」
「ふむふむ、デュオか・・・なるほどな。」
「・・・ホントにマニアックな話ばっかり・・・ι」
ボクはそうつぶやいた。
ここは放課後の図書室。
いつものようにボクたち・・・
ボクにα、サープとS籐サマの4人はここに集まって雑談をしていた。
「何だと?お前はガンダムをバカにする気か!?」
αがそう言って振り向いた。
「いや、そーゆーワケじゃナイんだけどさι」
「お前が話についてこれないのが悪い。」
「そんなぁ・・・S籐サマ〜!」
何でボクの友達って、こんなのばっかりなんだろーかι
・・・それに付き合ってるボクもボクだけどι
「んでさぁ・・・!!」
「バァーン!!!」
急に爆発が起こり、近くの本棚がふっ飛んだ!
「う・・・うわあああああっ!!」
「い、一体何がぁっ!?」
爆風と飛んできた本、本棚の破片や窓ガラスまでもがボクたちを襲う!
反射的に身構えたボクの前に立ち塞がったのは・・・
「S籐サマ!サープっ!」
しかし、すごい爆風のせいで、ボクはもうそれ以上目を開けることができなかった・・・

「・・・ん」
「よぉ。」
目を覚ますと、αがすぐそばに立っていた。
どうやら、図書室の窓際に座っていたことが幸いして、
外に放り出されただけですんだらしい。
「あ、αぁーっ!よかったぁ、生きてたんだーっ!」
「フッフッフ、オレの悪運の強さは折り紙つきよっ!」
何故か勝ち誇ったような表情のα。
「あ・・・えと、S籐サマとサープは・・・?」
「・・・・・」
ボクがそう聞くとαはそっと左の方を指差した。
見ると、たくさん集まった野次馬の前で、2人が救急車に乗るところだった!
「・・・・・っ!」
αは声が出ないボクを落ちつかせるように
「いや、2人とも奇跡的に助かったってさ!足に破片が当たっただけだと。
全治1ヶ月とか話してたのが聞こえた。・・・普通は死人が出る規模の爆発だったそうなんだけどな。
たまたま図書室にいたのもオレらだけだったらしいし・・・ま、不幸中の幸いだな。」
そう肩を叩きながら言った。
「誰が・・・誰がこんなコトを・・・」
「通り魔のしわざじゃねぇかって、ケーサツは言ってた。愉快犯・・・ってヤツだな。
お前もすり傷くらいで、目立った外傷はねぇみたいだな。
じゃ、一緒に近くの交番まで事情聴取に行こうぜ。」
そう言ってスタスタと歩き始める。
「ちょ・・・ちょっと待ってよーっ!」
「オラ、どいたどいたーっ!」
野次馬をかきわけ進んで行く。
ホントは1番悔しいくせに・・・こーゆー男なのだ、彼は。

「・・・!?」
野次馬から少し離れた所に、1人の少年が立っているのが見えた。
ボクたちの方を見て、
「チッ!」
そう舌打ちして、きびすを返し、去っていった。
「おい、どーした、B、行くぞ?」
「あ、う、うん★」
そう返事をして慌ててαの後を追ったが、ボクの頭はこんがらがっていた。
なぜなら、その舌打ちして去っていった少年とは・・・
今朝、ボクと会ったばかりの・・・
そう、マイケル殿だったのだから!


第二話も見てやる
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