第2話「信じる者・信じぬ者」


ボクはずっと考え事をしていた。
あれから、警察に行った後も、
αと別れてからも、ずっと気になっていた。
マイケル殿の・・・あの行動が・・・
「一体、何だったんだろう・・・?」
自分の心の中に問い掛ける。
「あんた、まだうじうじ考えてんの?」
心の中から帰ってくる声。
だんだん、周りの風景が変わってゆく・・・
暗く・・・黒く・・・紅く・・・
そして、そこはいつものボクの部屋ではなく、
もっと重い・・・広い空間へと変わっていた。
「ない頭しぼったって、考えるだけ無駄じゃないの?」
声の主はゆっくりとこちらへ近づいてくる。
「・・・相変わらずだね、ミントι」
ボクは苦笑いを浮かべながら答える。
そう・・・周りが変わったんじゃない、ボクの意識が心の中に移動したんだ・・・
多重人格だからこそできることなのかもしれないけどι
「しかし、確かに気になるね。」
もう1人・・・浮遊霊ミカゲが姿をあらわした。
「僕も君を通じて見ていたけど、普通・・・ではなかった。」
「ふーん、でもあんたが言うならそーかもしんないわね。」
・・・ボク、とことんミントに信頼されてないなぁ・・・ι
「何をうじうじ言っているキサマらぁぁぁぁっ!」
・・・とーとつに聞こえたこの声は・・・ι
「それでも男かっ!情けないぞっ!」
やっぱり現れたのはリョウゴだった。
「いや、そー言われても・・・ι」
「っつーかあたし男じゃないし。」
「やかましいっ!ぐだぐだ言ってても始まらんだろうがっ!」
リョウゴが怒鳴る。
「いいか!男なら行動あるのみだぁぁぁぁっ!」
力説する彼を見て、ボクたち3人はため息をついたのだった。
「い・・・ーい・・・おーい・・・」

「おーい!電話だぜアホー!」
階下から弟の声が聞こえてボクは我に返った。
「わかった、今行く!」
ダッシュで電話を取る。
「もしもし?」
「あ、僕ですけど。」
その声は・・・
「マイケル殿っ!?」
「ええ、ちょっと話したい事があるんですけど。
ちょっと市役所前まで来ていただけます?」
昼間、αやサープと話していた時と全く同じ調子でしゃべるマイケル殿。
「B殿には知っておいてもらわないと困るんですけど・・・よろしいですか?」
「・・・今日の事件も、関係あるんですか?」
「ええ、その通りですよ。じゃあ待ってますんでよろしく。」
そう言って電話は切れた。
「やはり、行動を起こしたようだな。
さぁ行くぞっ!歯ぁ食いしばれっ!!」
リョウゴの声が頭に響いた・・・

「あ、来て頂けると思ってましたよ。」
笑顔で話し掛けるマイケル殿。
「いえ、そんな警戒しなくたってだいじょうぶですよ。」
「昼間の・・・マイケル殿がやったの?
もしそうなら・・・」
ボクは彼を見据えてこう行った。
「そうだとしたら・・・どうなんです?」
笑いを浮かべながら言うマイケル殿!
「・・・」
「プッ」
引きつったボクの顔がおかしいのか、
マイケル殿は笑い出した。
「な・・・」
「冗談ですよ、B殿」
「え!?」
「あれは、僕じゃありません。
僕たちが追っている者たちの仕業なんです。」
急にマジメな顔になるマイケル殿。
「ええっ!?」
「信じてもらえないかもしれませんが、
僕たちは普通の人間とは違う力を持っているんです。」
マイケル殿の目は真剣だった。
「そして、B殿も。」
「えっと〜・・・」
ボクはなんとなく心配になって聞いてみた。
「病院、行きます?」
「・・・こんな話、いきなり聞いて信じろって方が無理ですよね。」
自嘲気味に笑うマイケル殿。
「じゃあ、僕の能力を見せたら・・・信じてくれますか?」
「は、はぁ・・・」
そう言うと彼は目を閉じた。
そして・・・!
すぐ開けた。
「はい。」
「早ッ!」
即座にツッコミを入れるボク。
「あ、言い忘れてましたけど、僕の能力は『リード』。
人の心を読むことができるんですよ。」
半信半疑、ジト目のボクの前で、マイケル殿は能力を披露した。

「ま・・・まさか・・・」
「これで信じて頂けました?」
さすがに自分の心の中を次々当てられては・・・
信じざるをえないι
ボクはバンコラン少佐みたいな現実主義者ってわけじゃないし・・・
「・・・バンコラン少佐って誰なんですかι」
がふぁっ!
ロクにものも考えられないかも・・・ι
「・・・どうもすみませんι」
「うう、わかったようっ!信じますっ!」
半ばヤケクソになって叫ぶボク。
「でも、それでマイケル殿は一体何をやってるんですか?
追ってるって・・・一体誰を?」
マイケル殿はボクの目を見据えてこう言った。
「銀殿が・・・消えました。」
「!?」
「銀殿の能力はすごいの一言なんですが・・・
その銀殿がある組織の手によって・・・」
「そ、そんな・・・最近会ってないとは思ってたけど・・・ι」
「だから、こうして能力を持つ人たちに声をかけて回ってるんです。
今回は敵に先回りされたようですけど・・・
B殿、お願いします。力を貸して欲しいんです。」
真剣な瞳のマイケル殿。
けど・・・やっぱり・・・
「能力のことは信じるけど・・・
あなたが本当にマイケル殿かわからないし・・・
ボクにはあなたが言うような能力なんてぜんぜんないから・・・」
そう、ボクにそんな力があるはずない・・・
ボクはただの多重人格者ってだけだ。
帰ろうとするボク。
「B殿は・・・」
後ろから彼の声が聞こえる。
「何も信じてないんですね。
他人も・・・自分さえも・・・」
ボクはそれを無視して帰路についた。
「本当に、それで・・・いいんですか?」
頭の中でそんなライラの声が渦巻いていた・・・


第三話も見てやる(工事中)
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