「貴方は本当に私を信じてくれるのですか?
         いつ裏切るとも知れぬこの私を」
                  大盗賊ベーレの言葉より

終わった・・・
そう言ってオレはその場に座り込んだ・・・
「何がデスか?」
いきなり耳元で声がした。
「誰だっ!?」
オレは自分のケガも忘れて飛び上がった!
「ククククク・・・ケルベロスを倒したようデスねェ。
リックス・クルズバーン。」
現れたのは黒い法衣を着たアンデット・モンスターだった!
「・・・一体、何のつもりだ。」
人語が話せることを見ると、どうやらザコではないらしい。
中級魔族以上のクラスだろう・・・
「何、一応あの方のお眼鏡にかなったということデスよ。ククク・・・」
「妙な含み笑いが気に障る。黙れ!」
「フフフ・・・その怪我でよく言いますねェ。」
そう言って、持っていた鎌を振りかざした。
「てめぇ・・・」
「ただ、ワタシにはいささか邪魔になるのデスよ。」
オレは腰の剣を・・・っ!
「あなたの剣、先の戦いで折れてしまいましたねェ・・・フフフ」
ヤ・・・ヤベぇ・・・やられるっ!
「剣士は剣がなければ―」
一歩ずつ近づいてくる・・・
「ただの人間。違いますか?リックス・クルズバーン。」
「・・・くっ!」
「あの方の野望は我々魔族にとって百害あって一利なしデスからねェ・・・」
そう言って奴が鎌を持ち上げたその時!
「バシュッ!」
炎の矢が奴の鎌を持つ手に突き刺さった!
「今、彼に死なれる訳にはいかないからね。」
いつの間にか、赤毛の髪の長い男が立っていた。
「あなたは・・・『スコーピオン』デスか・・・」
「『ゼルグ』・・・死神ふぜいが僕らに逆らうとはね・・・」
スコーピオンと呼ばれた男がサーベルを抜いた。
「ゼルグ、話は聞かないよ。反逆は重罪だ。」
「あなた方の恐るべき野望は・・・」
「語る必要はないよ。さよなら。」
スコーピオンはそう言うと、剣を振り下ろし、
ゼルグ(という名前らしい)死神を縦に切り裂いた!
赤い血しぶきがあたりに飛び散る!
「ハハッ、死神でも血は赤いらしいね。」
嘲るような口調で彼は、ゼルグとケルベロスの死体を
炎で消し去った。
そして今まで完全に蚊帳の外だったオレに近づき、
「ヒール!」
と、回復魔法をかけた。
「あの・・・あんたは・・・」
オレがそう言うより早く、
彼は森の奥へと消えていった・・・
「・・・」
しかしオレはここでひとつ、現在最も重要なことを思い出した。
「・・・帰り道がわからん。」


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