「くそっ!
けど、大陸にいるはずのケルベロスが何でこんなとこに・・・」
オレがそう言いながら間合いを取った時だった!
「アオォォォォォン!!」
ケルベロスの爪が体をかすめた!
「危ねぇっ!」
コイツ、何て速さなんだ!
こんな攻撃を胸に食らったら即死だぜ、オレ・・・ι
「くそっ!ニ連斬っ!!」
「フッ!」
奴はスッと攻撃をかわしたと思うと、オレの視界から消えた!
「くそっ!どこ行きやがった!?」
「ガッ!」
「ぐわっ!」
後ろからケルベロスに左腕を食いつかれた!
「い・・・痛ぇんだよこの野郎っ!」
幸い、右手は生きている。
オレはケルベロスの額に剣を思いっきり突き立てた!
ほとばしる鮮血!
「食らいやがれっ!」
くそっ!左腕の感覚がほとんどなくなってきやがった・・・
2度、3度・・・
何度も剣を奴の額に突き立てる!
「早く・・・どけぇっ!」
そして最後の力を振り絞ってケルベロスを振り払った!
すぐに再び間合いを取る。
ちくしょう・・・このままじゃ左腕が化膿しちまう・・・
こんな状況でこんな事を考えている自分に、
我ながら何て気楽なんだろうと苦笑しながら。
「うるあぁぁぁぁっ!」
二連斬の衝撃波で攻撃・・・したハズだった。
だが、それは大きくズレて、ケルベロスとは全然違う方向へ行ってしまった。
「片手じゃ・・・ムリなのかよ・・・」
攻撃をハズして隙ができた。
その時、急に奴の目が光った!
「グルルルルルル・・・!」
炎系魔法・バースト!
『魔法使い入門』のレベルだが、間違いなく、今はヤバすぎる!
必死で体を倒したが、背中が「じゅっ!」と音を立てた。
「ちくしょう・・・
お肉の焦げるいいにおいさせてくれるじゃねーか!」
そうは言っても、やはり自分が『リックスのステーキ』なんかになって、
あんな奴の晩御飯になる・・・なんてのは絶対ぇにゴメンだ!
・・・待てよ?
今オレ何て言った!?
「・・・炎はもう終わりかよ?」
オレはそう言ってもう一歩後ろに下がった。
確か・・・ケルベロス系のモンスターは、
一定の射程の内にいる敵にしか直接攻撃してこない・・・
そう本で読んだ覚えがある。
「え?かかって来いよ!」
体はもうボロボロだ・・・
おそらく、次の攻撃が最後になるだろう・・・
まだ・・・まだだ・・・
タイミングを計る。
ケルベロスの目が光った!
今だっ!
オレはすぐさま炎を左に避けると、
剣の刃を炎に浸しつつ、ケルベロスの前まで全力疾走した!
術者は魔法を使った後、数秒硬直する!
オレはジャンプして、燃えさかる炎を纏った剣を、奴の体に突き刺した!
「食らえ・・・紅蓮剣!」
その後の記憶はなかった。
オレは何かが焦げたにおいと、
血の臭いが混ざったものの中で目を覚ました。
体にも大量の血が付着している。
少し離れたところに、二つに折れた剣が刺さった動物の死骸があった。
「終わった・・・」
そう言って、オレはその場に座り込んだ・・・
第四話も見てみる
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