「泣いている暇があるなら、
    次に取るべき行動をとれ!」
             ある狩人の有名な言葉

「無茶でござるよぉ〜!」
オレはただ前を向き歩き続ける。
「聞いてるでござるかぁ〜っ!?」
それでもオレは歩き続ける。
「っつーかシカトでござるかっ!?ねぇっ!?」
ムサシがオレの髪を後ろからひっぱったので、仕方なくオレは立ち止まった。
「やめるでござる!リックス殿!」
「えーいっ!離せ!止めるなムサシ!拙者はもぉ生きてはおれんのだ・・・って違ぁ〜うっ!」
オレはどこからか取り出したハリセンでムサシの頭をひっぱたいた。
「スッコ〜ン!!」
「お、いい音。」
「うぉぉ〜い・・・」
満足気に頷くオレに向かって倒れたまま手を伸ばすムサシ。
「あ痛たたた・・・何するでござるか。本当に・・・」
「お前どーゆー状況でボケとんじゃι
っつーかボケてオレを止めようとしてもムダだぞ。言っとくが。」
「な、何の事でござるか〜?拙者ぜんぜんわからないでござる〜♪」
目ェそらすな、目。
マジでボケて止めるつもりだったのか、こいつは・・・
「まぁ冗談はさておき、書類がなくて入学なぞ、正直不可能でござるよ。
大体、25年間の歴史の中で1000人以上のERAZERが生まれたと言うのに、
未だにそんな例は1件もないし・・・」
「ならばオレはその第1号になる!」
「・・・・・」
「オレの言葉に感心するムサシ。」
「いや、呆れてるだけなのだが・・・ι
もぉいい、ついてくるでござるよ。」
「へ?」
「お主を説得するのは無理そうでござるからな。
ついて来るでござる。受付はこっちでござるよ。」
ムサシはそう言って別の方向を指差す。
「お前・・・」
「ついて来るのか、来ないのか。早く決めるでござるよ。」
「もっちろん!」
オレは叫んだ。
「言うまでもなくついてくに決まってるだろっ!」

「・・・なぁ、フツー受付ってさー、こんなもんなのかなー。」
「何か学校の体育祭本部って感じでござるなぁ・・・」
入口で渡されたパンフレットの地図に受付と記されていた場所でオレ達を待っていたのは、
「受付」とドでかい文字でかかれた白いテントだった。
その中には会議室あたりのものと思われる机が並べてあり、お姉さんが1人、笑顔で座っている。
「やる気なさそーだよなー。」
「まぁ、今はどこも不景気でござるから・・・」
オレとムサシは口々に文句を言いつつ本部前にやって来た。
まぁやっぱりみんな名高いジェイサード学園と
この受付の惨状のギャップに苦しんだせいか、
ここら一帯にだけほとんど人影がなかったことを報告しておく。
「まぁ、行くっきゃ・・・ねーよなι」
「う〜む・・・」
ものすご〜く気が乗らないが、行かなきゃ物語が始まらないので
しぶしぶながら重い足どりのまま歩き出すオレ達。
「えーっと、ここが受付ですか?」
「はい、見ての通り受付です
営業スマイル全開の笑顔で迎えてくれたお姉さん。
ホント、ここが有名なジェイサード学園なのかよ・・・ι
「えっと、じゃあ受験登録をお願いするでござる。」
ムサシはやはりちょっと引きながらも笑顔を返し、書類を手渡す。
「はい、ムサシ・アイハラさんですね。受験番号は8753番です
・・・すごい数だ。
やはりここは世界一の学校、ジェイサード・・・
「あ、ついでですが、おみやげに『ジェイサードまんじゅう』いかがですかー?
今なら郷里まで無料配送しますけどー★」
・・・でもねーか。
ホント、どーゆーとこなんだよ、ここは。
とか内心ツッコミまくってはいるが、さすがに今の自分の状況を忘れたわけではない。
受付に事情を説明して、受験させてもらわなくては。
「えーっと、オレは・・・」
「どけ。邪魔だ。」
ふいに後ろで声がした。
「オレはセファイド・ハートキー。登録を頼む。」
現れたのはオレより1つ、2つ年上だろうと思われる、赤い髪の男だった。
前髪の一部が金色に光り、碧の瞳が憂いの色を帯びている。
「・・・8754番か。」
受付からもらった受験票をつかむと、男はそう言い去って行った。
「何だぁ?あいつは・・・?」
「あの男も来たでござるかー。」
横ではムサシが妙に納得したよーな表情を浮かべている。
「あいつの事、知ってんのか?」
「ああ、この国一番の戦士として名を馳せた男、セファイド・ハートキー。
まさか今になって受験しに来るとは・・・
あの男が出るとなると、相当勝ち残るのは厳しいかもしれぬ・・・」
「そうなのか・・・」
「あははははっ!そんな程度でビビってるの?」
「誰だ!?」
そう言ってオレ達は声のする方へ振り向いた!
しかしそんなオレ達をバカにするかのように、今度は声は受付の方から聞こえてきた。
「この子、リックス・クルズバーンくん。
書類を忘れてきちゃったから、僕が代わりに持って来たんだ。
登録お願いね、お姉さん★」
「お前は・・・スコーピオンっ!」
再び向き直ったオレはヤツに叫ぶ!
「てめぇ・・・何企んでやがる!?」
「あーあ、そんな怖い顔しないでよ★
僕は『青少年の夢をかなえてあげる会』の会員だからさ。
あしながおじさんみたいなもんなんだよ?」
「ケッ!」
オレは足元にツバをはいた。
「とんだあしながおじさんもいたもんだな。
てめぇが何をしたか、忘れたとは言わせねぇ!」
そう言い、腰の剣に手をかける。
「ダメだよ。」
スコーピオンはどこか悲しそうにつぶやいた。
「今のキミじゃあ、誰も倒せないんだから。」
次の瞬間、ヤツの拳がオレの腹部にクリーンヒットしていた。
オレは遠くなる意識の中でその声を聞いた・・・


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