グオォォォ・・・
轟音が響き渡る。
魔界で天使と悪魔が戦う中、
どの世界からも忘れられた洞窟・・・
そこで密かな笑みを浮かべる1つの影があった。
「アイゲンスレイヴ!」
透視魔法を詠唱する。
町から離れた1つの小屋が映し出された。
「ほう・・・ここに居るのですか。私の封印を解いてくれる方が・・・ククク」
封印の鎖で縛られた黒い服の男、
ルナ=ハリアはそう言って目を閉じた。

ERAZER〜闇を消す者〜

「パチパチパチパチ・・・!」
拍手が鳴り響く。
リックスは、照れくさそうに頭をかく。
「最強のERAZERの称号を、
リックス・クルズバーンくんに送りたいと思います!」
賞状を受け取ろうと、取ろうと・・・あれ?

「とっとと起きやがれこのバカ息子〜!!」
横から猛烈なケリを入れられ、オレは目を覚ました。
「はうっ!な、何をするんだよ、母さん!?」
リックスはパジャマのまま、床に転げ落ちた。
「『はうっ!』じゃないわよ!いつまで寝てるつもりなの?
アンタ、今何時だか、解ってるんだろうね!」
もう11時になっていた。
「昨日も、『いれいざぁになりた〜い』とかほざいて、
夜遅くまで起きてたでしょうが!
自分の実力もわきまえずに、ンな事言ってるんじゃないわよ!」
「おいおい、そのへんでもういいだろう?」
助け舟を出してくれたのは父さんだった。
「おまえ、『ウィルの町の町長さんが呼んでいた』と、
起こしにいったんだろう?これ以上待たせるわけにはいかんよ。」
父さんは母さんを優しくたしなめるように言った。
「そ、そうだったわね。リックス、あんたなんかでも
いないよりはマシなんだから、さっさと行ってあげなさいよっ!」
母さんはそう言って、オレをドアから蹴り飛ばした。
まだメシも食っていないのに・・・
そこまでオレが嫌いかあのババア!
「バシッ!」
その瞬間、オレの後頭部に目玉焼きが飛んできた。
「ンなこと考えてないで、とっとと行けッ!」
母さん・・・エスパーか?

「おまえがそういう態度で接するのは、
リックスにERAZERになってほしくないからだろ?」
リックスが出かけた後の家で、父は優しく母に尋ねた。
「当たり前よ!・・・あの子の夢は尊重したいけど、
母親としてはやっぱりね・・・」
母もまた、優しい笑顔で答えた。
リックスには隠したままの、愛に満ちた表情で。

「ふう・・・」
ウィルの町に行くには、森を越えなければならない。
父さんの趣味で、自然の多い土地に家を建てたのはいいけど、
もっと考えてほしいぜ。町に行くのに時間がかかるんだから。
「まっ、そんなに大変な森じゃないけどね!」
実際、スライムやゴブリン程度の魔物しか出ないんだ、この森。
「よう、坊主!相変わらず元気がいいな!」
森の番人のおじさんに声をかけられた。
ここまで来れば、町までもう少しなんだ。
「町長さんに呼ばれたらしくてね!」
森の出口へ向かって走りながら叫ぶ。
「ははは。」
おじさんの声が後ろから聞こえる。
この時、おじさんの背後に、
黒い影が笑みを浮かべて立っていたなど、
オレは気づく余地もなかった。
もちろん、当のおじさんでさえ。

「森の奥を調べて頂きたい。」
唐突に町長さんはこう言った。
「は?」
「森の奥を調べて欲しいと言っておるのだ。」
もう1回静かに町長さんは言った。
「支度金は用意してある。やってくれるな?」
オイオイ、反論の余地なしですかい!?
このヒトいつも強引なんだから・・・
「何をぶつぶつ言っておるのだ?」
「いえいえ、喜んでやらせて頂きます。」
こうでも言わにゃ、話が進まんι
少ない支度金で300ワースの安物の剣を買って、オレは森に急いだ。
(ちなみに、ワースというのはこの世界の通貨である)

番人のおじさんには、この通行証を見せればいいって聞いたけど・・・
さっきまでいたはずのおじさんがいない!
どーなってんだ?
「あのおっさん、もしかしてサボってんじゃねーだろーな?」
そんな事を思いながらとりあえず奥へ進んでみた。
こーして、オレの冒険は始まった。
・・・ちょっとだけ。


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